身長と睡眠の関係を紐解く

成長に睡眠が欠かせないのは当然だとわかっていても、いったいなぜなのかと説明できるほど理解はしていない人は多いと思います。

高校生になり勉強や部活と忙しく帰宅時間も遅くなり、アルバイトを始めたりすると交友関係も増えてきて、日付が変わるくらいまで連絡をとりあったりと、スマホをいじるのが習慣づいていませんか?こうした生活スタイルは、睡眠の質を下げてしまい身長の伸びを妨げる大きな要因となります。

今回はどんな睡眠が背を伸ばすのか、効果的な睡眠をとるための具体的な方法も一緒に説明していきます。

背を伸ばすには「成長ホルモン」の充分な分泌が必要

背を伸ばすには骨が伸びなくてはなりません。骨が伸びるのは骨端線付近に存在する骨芽細胞の働きによるものです。この骨芽細胞の働きを促すのが成長ホルモンです。

成長ホルモンは脳の下垂体から血液中に分泌されるタンパク質で、眠っている間に多く分泌されます。ですから、この成長ホルモンをたっぷり分泌させることが、背を伸ばすことには欠かせません。

寝不足は成長ホルモンの分泌に影響を及ぼす

成長ホルモンが最も分泌されやすいのは夜です。睡眠時に分泌される成長ホルモンは、睡眠のなかでも「ノンレム睡眠=深い眠り」についた時に分泌されます。

寝る時間帯で成長ホルモンの分泌量が増えるわけではなく、身長が伸びるわけでもありません。睡眠には理想とする睡眠時間、睡眠のゴールデンタイムがあると一度は聞いたことがあるかもしれません。しかし最近の研究結果では、根拠がない噂話になっています。

睡眠には、浅い眠りの「レム睡眠」と、深い眠りの「ノンレム睡眠」があります。レム睡眠は夢を見たり記憶を整理するのが特徴ですが、ノンレム睡眠は体の成長に重要な働きをします。

レム睡眠に比べて深い眠りのノンレム睡眠は、深さのなかでも段階があります。眠り始めから3時間くらいの間に訪れる最も深い眠りの第4段階の時に多くの成長ホルモンが分泌されます。約90分ごとに繰り返すレム睡眠とノンレム睡眠の周期をできるだけ多くとると、充分な睡眠時間が確保され、成長ホルモンの分泌の安定にもつながります。

深い眠りに入るには脳と体がしっかり休んでいる状態、つまりリラックスした状態にあるのが大切です。寝不足の状態が続いてしまうと上記の活動が行われにくくなるので、身長も伸び悩んでしまいます。

背を伸ばすために確保すべき睡眠時間

日本人の平均身長は世界的に見ても低く、睡眠の短さが関係しているのではないかと言われています。子どもの年齢によって理想とする睡眠時間は変わりますが、生まれてから思春期を過ぎるまでに、1日に約8時間~16時間の睡眠が必要です。

遅い時間までテレビやゲーム、スマホの普及で携帯電話を必要以上に見たり、勉強で夜遅くまで起きていることが増えると睡眠時間も短くなります。

【理想とされる睡眠時間】

小学生 約10~11時間
中学生 約9時間
高校生 約8時間

実際はどの世代も理想とする睡眠時間より1時間程度少なく、特に高校生はスマホで友だちとの連絡も増え、SNSやネットを見ている時間が長くなるので要注意です。子どもの睡眠時間を増やすには、家庭での食事の時間を子どもに合わせるなど親の協力も重要です。

睡眠は成長ホルモンの分泌に加えて、骨を休めるという効果もあるので、理想の睡眠時間をとることは非常に重要です。

就寝前の睡眠環境で質の良い睡眠をとる

成長ホルモンの分泌を効果的に促すには、リラックスした心地よい眠りに導くための環境を整えることが一番です。

睡眠の質を上げるために日常生活で今日からできることを紹介していきます。

寝る前に脳に刺激を与えない

就寝前にスマホの長時間の使用は、ブルーライトの浴びすぎで目が冴えてしまいなかなか寝付けなくなります。

交感神経が興奮するとせっかく身体が寝ようとしているのに、脳が起きたままの状態で睡眠の質が落ちて深い眠りにも入れません。就寝前の使用は、就寝の1~2時間前に控えるようにしましょう。

寝る前に血糖値を上げない

成長ホルモンの分泌には血糖値が下がっている状態が必要です。満腹に近い状態は血糖値が上がったままなので成長ホルモンが分泌されづらくなってしまいます。胃や腸の中に食べ物が残っていると眠りも浅くなります。

身体がちゃんと休めていないと深い眠りに入りづらくなるので、夕食は寝る3時間前までに済ませておきましょう。

寝る1時間くらい前の入浴を習慣にする

入浴は交感神経を抑えてリラックスする働きがある副交感神経を優位にします。もう一つは、深部体温の上昇です。湯船にじっくり浸かって身体のなかから温めることで体温を上げ、血流が良くなると外部へ熱を放出しやすくなります。

お風呂から上がったあとの深部体温は、入浴で上がった分だけ余計に低くなっていき、より深い眠りに入りやすくなるのです。夏場でもシャワーだけにせず、湯船に浸かるようにしましょう。

適度な運動が必要

良質な睡眠には日中にしっかりと日差しを浴びて、体を動かすことが必要です。朝起きてウォーキングなど朝日を浴びながらの運動が最も効果的で、朝日は睡眠のリズムを作る働きを持っています。

夜眠くなる働きをするメラトニンは、朝日を浴びた約15時間後に分泌が増加してくると言われています。日中に運動をしておくことで夜自然と眠りにつくことができます。

落ち着いて眠れる環境作り

ストレスなく眠れるように、使用する布団や枕の硬さや柔らかさなどにも気を配りましょう。適度な弾力や高さ、寝返りの打ちやすさなど身体にフィットした寝具選びが大切です。寝具を買いに行くときはお店の人に相談しながら探したり、実際に触ったり寝てみたりして満足できる寝具を購入しましょう。

音や光で眠れない環境であれば、耳栓やアイマスクを使ってみるのも効果的です。また就寝前は、寝る30分前には部屋の明かりを減らしていき、間接照明だけで過ごすようにしましょう。

生活リズムにメリハリをつける

寝るとき以外でベッドでゴロゴロしていると、体が休息と勘違いして、夜眠ろうというときに眠れないことが起きる可能性があります。昼寝は30分以内で済ませ、細切れに寝ないようにしましょう。

また、休日などもダラダラといつまでも寝ることは避け、普段と同じ時間に起床することを心がけましょう。

睡眠の質の向上で成長を促そう

「寝る子は育つ」と言われているとおり、成長と睡眠は密接に関係しています。成長期の子どもが身長を伸ばすには成長ホルモンを活発に分泌させる必要があり時間帯ではなく睡眠の質が大切です。

質の良い睡眠は寝る前の行動によって左右されるので、睡眠のサイクルや環境など生活習慣を整えて身長の伸びにつなげていきましょう。

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