第二次性徴を終えて骨端線が閉じると「身長は止まる」

中学生になって身長の伸びが遅くなり、不安にかられる子どもがいます。その理由の1つに、「小学校までは、周りの友達と同じくらいの身長だったのに、いつの間にか抜かされていた。」などがあるようです。

成長期であるはずの中学生でも、身長が止まるのでしょうか?身長が止まる原因について調べてみました。

子どもの身長が止まる要因とは?

子どもの身長が止まる原因は、骨端線の有無が大きいです。骨の両端にある骨端線は、軟骨細胞の集合体で、成長線とも呼ばれます。

身長が伸びるということは、この骨端軟骨を増殖させ、硬い骨になっていき、骨が伸びることになります。そして、骨の成熟が成人レベルに達すると、骨端線は閉じて身長の伸びが止まるのです。

骨端線が閉じる年齢

一般的に、骨端線が閉鎖する年齢は、男子の場合は17歳前後、女子の場合は16歳前後で、ちょうど思春期を終える頃になります。骨端線の有無は、病院のレントゲン撮影で調べることができます。幼児や小学生は「小児科」、中学生以上は、「整形外科」で診察してもらいましょう。

骨端線が閉じる前に起きる成長スパート!

子どもから大人の体へ急激に成長する思春期は、成長スパートと呼ばれます。体重の増減など、成長速度により個人差はありますが、平均的な男子で13歳前後、女子は11歳前後がもっとも身長が伸びます。その時期の子どもは、1年間に7~8cm、また伸びる子だと10cm伸びるそうです。

思春期の成長スパートでは、性ホルモンにより第二次性徴(第二次成長)が起きます。

さまざまなホルモンをコントロールする脳下垂体より分泌された「性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)」の作用によって、男性は精巣から「男性ホルモン(アンドロゲン)」、女性は卵巣から「女性ホルモン(エストロゲン)」が分泌されます。

これらの性ホルモンの働きで、体格も大きく変化し、男らしく女らしくなり、大人に近づくのです。そして、体が大人になると、骨端線は閉じてしまい、身長が伸びることはありません。

また、現在の医学では、閉鎖した骨端線を開く方法はないと言われています。

思春期に現れる身体的特徴

男性
・喉仏が出て、声変わりが始まる
・ヒゲや体毛が生え、濃くなる
・男らしい骨格、筋肉質になる
女性
・月経(生理)が始まる
・胸がふくらみ、乳房が発達する
・皮下脂肪がつく
・丸みのある体型になる

ただし、このような身体的変化があっても、すぐに身長の伸びが止まるわけではありません。思春期徴候を迎えて、だいたい2~3年の間は、ゆっくりと身長は伸び続けます。

つまり、思春期後期に入り、身長が止まる予兆が表れたからといって諦めてはいけません!大切なのは、骨端線が閉じてしまうまでに、骨を成長させることです。

骨の成長に必要な「たんぱく質、カルシウム、ビタミンD」などの栄養素を摂取しましょう。また、体の中で作られる「成長ホルモン」が重要な役割を持ちます。

骨端軟骨を増殖させる成長ホルモン

成長ホルモンは、骨端線にある軟骨の増殖を促進させ、骨を伸ばしてくれます。成長ホルモンが大量に分泌される時間帯は、就寝中です。さらに、成長ホルモンの分泌を促す「メラトニン」も大切なホルモンになります。

メラトニンは快眠に導く「睡眠ホルモン」

体内時計に働きかけることで、体に「夜」が来たことを伝えるホルモンです。メラトニンは、日中に太陽の光を浴びることで分泌されます。メラトニンの働きは、覚醒と睡眠を切り替えることで、自然な眠りを誘い、夜はぐっすり眠ることができます。他にも、免疫力を高める効果もあると言われています。

メラトニンは、子どもの頃は多量に分泌されますが、思春期をすぎると急激に分泌量が減ります。年齢とともに減っていくため、意識して日光を浴びるようにしましょう。また、夜間に光を浴び続けると、メラトニンの分泌が低下し、睡眠の質を下げてしまいます。

同時に、免疫力も低下し、がん細胞の発生が増えることも報告されています。夜、スマホやパソコンなど見て、ブルーライトを浴びていると、睡眠に悪影響を及ぼしてしまいます。身長を高くするためにも、夜更かしすることを避け、質のいい睡眠を心がけてください。

成長ホルモンが不足すると身長が伸びない

小児期~思春期の子どもが身長を伸ばすには、睡眠以外にも「栄養、運動」が不足していないか、生活習慣を見直す必要があります。他にも、心理的要因である「ストレス過多、愛情不足」などになっていないかも重要になってきます。

これらの原因は、成長ホルモンの分泌を妨げ、身長の伸び率に影響を及ぼすと言われます。そしてまれに、成長ホルモンが不足することによって、子どもの成長障害の1つ「低身長」になる可能性もあるようです。また成長ホルモンは、下記の病気の治療法にも活用されています。

成長ホルモン治療の対象となる疾患

成長ホルモン分泌不全性低身長症
脳の下垂体から成長ホルモンが分泌されない

ターナー症候群
プラダー・ウイリー症候群

遺伝子の集合体である染色体異常

軟骨異栄養症
生まれつき骨や軟骨が伸びにくい

SGA性低身長症
子宮内発育不全で、小さく生まれた子どもに多い

また、腎臓の障害が慢性的に続いている状態(慢性腎不全)もまた、低身長の原因になります。これらの治療には、注射による成長ホルモン補充療法が用いられるようです。

上記以外にも、早期に性ホルモンが分泌されることによる病気「思春期早発症」もあります。この疾患は、早い段階で体が完成し、一気に身長が伸び、その後、ピタリと身長が止まるため、小柄な人が多いです。思春期早発症は、原因により治療法が異なります。

これらの病気は、一般的には少ないですが、子どもの身長が低いと悩んでいる場合は、一度、医師に相談してみてはいかがでしょうか?早く検査や治療を受けることで、子どもの身長に効果があると言われています。

病院へ行くときに準備する物

病院へ行く際は、生まれたときの状況や病歴が記された母子手帳や健康手帳を持って行きましょう。これらの成長記録は、成長曲線と比較することができます。

成長曲線とは、男女別や年齢別に子どもの身長や体重の記録を集めて、平均値や標準偏差を曲線で示したグラフ(表)のことです。この成長曲線と、診察する子どもの成長記録を比較することで、成長パターンが容易に分かり、医師の診断もスムーズに進みます。

成長曲線は、一般社団法人 日本小児内分泌学会の公式ホームページでダウンロードできます。参考にしてください。http://jspe.umin.jp/public/teisinchou.html

子どもから大人の体になり始めたら身長が止まる合図

子どもの身長が止まる時期に入る前、つまり、骨端線が閉じる前が勝負です!成長スパート期を迎えた後、骨端線は次第に閉鎖して、背が伸びなくなります。

大切なのは、骨端線が閉じるまでに、カルシウムやマグネシウム、ビタミンなどの栄養をきちんと摂取することです。また、成長ホルモンやメラトニンの分泌を増やすために、夜更かしをしないで、良質な睡眠をしっかり取り、骨を伸ばしましょう。

SNSでもご購読できます。